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王都イセリアル

王都の外観

王都は王城ベルバを中心として星形の城壁によって囲まれています。 この城壁にはそれぞれの方向に5つの門があり、もしこの王都を攻め、門を破ろうとするならば左右の城壁から挟み撃ちを受ける、という伝統的かつ鉄壁の洗礼を受けることになるでしょう。

内部は大きく分けて5つのエリアに別れており、王城を囲む「邂逅の道」と呼ばれる環状路からそれぞれのエリアと門に大街路が伸び、この五本の大街路にはそれぞれシルメリア建国の功労者たちであり、イセリアの仲間たちである冒険者たちの名前がつけられています。


王城ベルバ

女王イセリアと王女リズリナの居城であるベルバは、1本の大きな塔のような城を、5本の塔が囲むように建てられています。 全6本の塔によって構成されるこの城は、それぞれ女王の塔、王女の塔、大臣の塔、将軍の塔、魔術師の塔、宝物の塔と呼ばれています。 敷地内には、塔の他にも兵士たちや使用人の宿舎、馬舎などの施設があります。

王城は限られた時間のみ一般に一部公開されており、望むならば女王や王女との謁見も不可能ではありません。 勿論、簡単に謁見することはできませんが、名を挙げた冒険者ならば女王や王女のほうから呼ばれることもあるかもしれません。


女王イセリア

現女王のイセリアこそ、かつて“剣姫”と呼ばれた凄腕の剣士であり、圧政を敷いていたシューヴァ連合国の権力者たちから国民を解放した英雄です。 剣の象徴とでも言うべきこの女王は、その気質柄、「自らの力で運命を切り開く」ことを推奨しており、聖母とはとても呼べない剛毅な女性ですが、国民には信仰にも似た絶対の信頼を置かれています。

シューヴァ連合国との戦いの際に最愛の男性を亡くしており、45歳となった現在まで独身を貫いています。 剣士としてはもはや衰えを隠せない女王ですが、その精神は老いてますます盛んと言えるでしょう。

しかし、自分の老いを自覚しつつあるのか、つい数年前に養女を取り、次期女王とすべく娘に教育を施しています。


王女リズリナ

女王イセリアが孤児院視察の際にその才覚に目をつけ、養女として引き取った少女。 それが王女リズリナです。

若干14歳という年齢でありながら、教育係の宮廷魔術師長ですら舌を巻くほどの才媛であり、将来の女王としてすでにその才覚を発現させているリズリナですが、少々お転婆な面があり、時折、城下の様子を見物に城を抜け出してしまいます。 本人は上手く身分を隠しているつもりなのですが、人々の間では非常に有名で、王女に付き合って皆気付かないふりをしています。

孤児院暮らしから王城暮らしということもあって世間知らずな王女は、城下で騒動を巻き起こすことが多々ありますが、人々はむしろそれを楽しみにしている節があります。


冒険者ギルド

シルメリアには冒険者たちのために作られた独自の互助組織である「冒険者ギルド」があります。 シルメリアはその成り立ち上、建国直後は悪党崩れの冒険者や、冒険者を名乗る悪党が外から大量に流れ込んだため、女王の命によって冒険者を統制するギルドが建てられたのです。

この冒険者ギルドは、王国内に数多ある冒険者の店と提携を結び、客と冒険者の店を結ぶ仲介役となっています。 無論、客が直接冒険者の店に依頼することもできますが、冒険者ギルドを介したほうがスムーズに優良な店と冒険者を依頼に当ててくれるため、ギルドは非常に重宝されています。 その反面、仲介には多少の時間がかかるため、特に急ぐ内容の依頼は直接冒険者の店に依頼することが多いようです。

シルメリア王国内で冒険者として仕事をするためには、冒険者ギルドに登録しなければなりません。 登録と言っても名前を記帳する程度のもので、審査などは全くありません。 登録の証として、剣にからみつくドラゴンの意匠が施されたペンダントを渡されます。


盗賊ギルド

シルメリア王国を裏から守る女王公認の義賊たち。 それが「盗賊ギルド」です。 盗賊ギルドの管轄区内では闇市をはじめとした仕事の場が王国から与えられています。

女王から認められた仕事として、後述する闇市の他に「正当な盗み」が挙げられます。 これは王国に対して犯罪を働いている者や、王国に対して害を為している者に対して行なわれ、そういう者たちは盗賊にがっぽり奪われた挙句に、王国の法によって裁かれてしまいます。

正当な盗みの他にも、やはり盗賊故に普通の(という言い方も変ですが)盗みをはたらくこともあります。 この場合、女王公認の盗賊と言えど法によって裁かれるため、当然ですが捕まらないことが前提となります。 尤も、あからさまな仕事のやり過ぎは、王国における盗賊の立場を危うくし、また、ギルドそのものによる制裁の可能性もあるので、盗賊達は盗賊の良識内で仕事をするようにしています。

盗賊の管轄区内では盗賊たちが治安を守っています。 喧嘩・盗み・騙し程度は彼らも許容しますが、殺しだけは御法度です。 彼らの前で殺しを働いたならば、それ相応の理由が無い限り、その場で厳しい制裁を受けることでしょう(多くはその場で始末されます)。

王国内で盗賊が仕事をするには、シルメリア盗賊ギルドに入らなければなりません。 入ると、みかじめ金を支払わなければなりませんが、王国内での仕事が許可されます。 シルメリア盗賊の証として、髑髏にとまる鴉の意匠が施されたペンダントが渡されます。


魔術師ギルド

シルメリア王国では、国力を高める鍵として古代文明の探索と解明が重要視されているため、魔術師ギルドは王国によって手厚く保護されています。 とは言え、シューヴァ時代の魔術師ギルドは悪の結社でしか無く、今の魔術師ギルドはシルメリア建国から5年後に建てられた為、非常に若い組織と言えます。

ですが、シルメリア王国が安定するにつれ、奈落の城や、落ちた空中庭園の謎を求めて、魔術師や見識者が数多く王国を訪れるようになり、建立直後はさほどの力を持たなかった魔術師ギルドも、徐々にその力を高めてゆくことになりました。

10年前に、現在のシルメリア魔術士ギルド長であり、世界最高の魔導師の一人と数えられるヴィエラ・フォン・クロニク老師が訪れてからは、彼の高名を求めてますます有力、有望な魔術師たちが集まるようになり、現在ではシルメリア魔術師ギルドは大陸でも一流の魔術師ギルドとして名を馳せはじめています。

シルメリア魔術師ギルドは魔術師による研究機関であると同時に学府でもありますが、登録さえ行なえば、外来間もない魔術師であっても書庫の閲覧などの恩恵に授かることができます。 登録の証として、短剣をくわえた梟の意匠が施されたペンダントが渡されます。


マギテック協会

シルメリアのマギテック協会は、マギテック協会本部が存在するルキスラ帝国が隣国にあり、魔動機文明時代の巨大遺跡である「奈落の城」があることも関係し、シルメリア建国後、盗賊ギルドについで早い段階でシルメリア王国に根付いた組織です。

このマギテック協会は冒険者ギルドと提携関係にあり、様々な情報の共有や、冒険者に対するマギテック技術の教育、遺跡探索における協力などを行なっています。

シルメリアマギテック協会に所属する魔動機師には、登録の証として歯車を回す鼠の意匠が施されたペンダントを渡されます。


神殿

シルメリア王国の国教はル=ロウドであり、他の信仰も自由が認められています。 このため、国教であるル=ロウドをはじめ、ライフォス、ティダン、キルヒア、ザイア、シーンの大きな神殿が王国内に建てられています。

他の小神に見られる信仰も時折見られますが、そういった信仰の勢力は小さいようです。 また、ダルクレムに代表される反社会的な信仰や、オカルト的な信仰も潜んでいることも事実ですが、今のところ王国や盗賊ギルドの監視により、表だった行動は起こしていないようです。

ル=ロウド、ライフォス、ティダン、キルヒア、ザイア、シーンの各教団は王国に様々な協力を行なっています。 例えば、ル=ロウドは流浪商人のような個人に対して無償の宿泊施設を提供しています。 ライフォス教団は貧しい人々に対するボランティアに熱心であり、ザイアの神官戦士団は王国の手が届きにくい村落や僻地の防衛を進んで行なっています。 また、ティダン教団は農民たちに農耕の知識を授けたり種や籾を提供したりしています。 他にも、キルヒア教団は国民に対して日曜学校を開いていますし、シーン教団は歓楽街に住む人々の相談役となっています。


闇市

禁制品も含めたありとあらゆるものが飛び交う女王公認の市場。 それがシルメリア盗賊ギルドが仕切る闇市です。 危険な麻薬や毒ですら売り買いされます。 …尤も、それを表で使えば法によって裁かれますし、管理を司る盗賊ギルドによって命に関わる「お仕置き」を受ける可能性がありますが。

シルメリア盗賊ギルド管轄区に置かれたこの闇市では、責任の一切を訪れる個々が取らなければなりません。 値切りはマナー、盗まれ騙されるのは盗まれ騙された側が間抜け、というような場所です。

ただ、単純な喧嘩はともかく、盗賊たちは騙しや盗みのテクニックに一種の美学を持っているため、恐喝や恫喝は、見回りの盗賊によって「お客さん…ちょっとこちらへ?」というようなことになります。 もし殺しになるような事があれば、いかに女王公認と言えど、やはり盗賊は裏社会の人間であるということを思い知る結果となるでしょう。

この場で取引される一切の品は、王国によって黙認状態であり、盗まれた家宝を盗んだ当人から泣く泣く買い戻す貴族、などと言った光景も時折見られます。


軍事力

シルメリア王国は、その成り立ちからして、強力かつ独特な軍隊の体制を整えています。 常備している兵力としては、四師団それぞれ2000人程度、傭兵団が1000人程度が王都に常駐しています。 つまり王都の人工の六分の一が兵力ではあるのですが、シルメリアという大きな国の兵力として見た場合、これは決して大きな数字ではありません(傭兵の数は特筆ものですが)。

ですが、いざ戦争となると、剣によって成り立った王国という側面が浮き彫りになります。 各都市群が王都に兵力として供給している軍隊は一部に過ぎず、各都市群は予備役を抱えています。 予備役と言えど、彼らは常に訓練を欠かしておらず、いざとなれば統制されたまとまった兵力が王国に供給されることになります。

また、有力商人たちもシルメリア軍に密接な関係を持っています。 というのも、シルメリアでは王国の危機に対して何からの形で貢献することが美徳とされており、それは貴族や軍人だけではなく下々の者まで浸透しているために、有力商人たちは冒険者ギルドを介して自らの財で傭兵を雇い入れ、王国に供給するのです。 常にある程度の傭兵を保有し、訓練をさせている者も少なくはありません。

シルメリア王国には「歩兵剣士団《銀狼》」「重装騎士団《黒鉄》」「遊撃弓兵団《隼》」「武装船団《鮫》」の四師団があり、何れも機動力もしくは射程を重視しています。 特にシルメリア海軍である《鮫》は、近年海路による交易が活発になるにつれ、海賊による略奪行為が目に見えて多発しているため、海上警備の重要な役割を担っています。


娯楽

シルメリアの国民は、幸福は与えられるものではなく、自らの力で手に入れるものと考えています。 これは国教であるル=ロウドの教えもさることながら、シューヴァ時代の圧政に耐え、そしてついに自分たちで今の繁栄をつかみ取ったという矜恃と強かさによるところが大きいでしょう。

国民はあらゆることに積極的で、商人や旅人を介して王国に流れる他国の文化に強い興味を示し、取り入れようとします。 尤も、歴史の浅い国ということもあり、歴史ある国に住む心ない人々から嘲笑されることも少なくないのですが。 とは言え、あらゆる事に対して柔軟なシルメリア国民は、様々な娯楽を見つけ、日々を楽しんで生きようとしています。

国民の中で一番人気なのは「マギス」と呼ばれるカードゲームです。 これはマギテック協会が発売しているカードゲームで、それぞれのカードには魔物や魔法、アイテムなどの絵柄が印されており、卓上を12マスのフィールドと見立て、それぞれ50枚の山札を使ってゲームを行ないます。 これは庶民から貴族まで幅広い人気があります。 現在シルメリアのマギス王者は時折現われる謎の少女と言われていますが詳しいことは謎のままです。

また、剣の国という特色が色濃く表れたスポーツとして「フェンシング」が挙げられます。 これは先と刃を丸めたレイピアやサーベル、小盾、軽防具を用いて競われる剣術試合であり、ダメージではなく的確さによるポイントで勝敗を決します。 一時期、このスポーツがいたるところで野試合のように行なわれたため、現在は見届け人となる審判がいる前でのみ試合が許されます。